海風の如く
出掛けたのは昼間だったから、既に日が暮れかかっていた
「おまさちゃん、素敵な方ですね」
「だろ!?」
「はい、友達ができて嬉しいです」
原田もなんだか嬉しそうだった
「二人共、呑気なのはいいが、時間やべぇんじゃねぇのか?」
永倉の言葉で我に返る
『ひ、土方さんに怒られる!!』
ハモったのを合図に三人共走り出した
「蓮、怒られそうになったらなんとかしてくれ」
「原田さん、どうしろって言うんですか!?」
「可愛くすみませんって言っとけば十分だろ」
華蓮に媚びを売れ、と言うのか
「できる訳ないじゃないですか!!」
「たまには女の武器を使ってみろって」
「もう、どうなっても知りませんよ!!」
華蓮ができるかできないかは置いといて、土方がそんなもので許してくれるとは思えない
華蓮は説教が長引くことを覚悟していた
『到着~』
「お、お二人共、速すぎです」
余裕な原田、永倉に比べて、華蓮は疲れきっていた
「でも、よくついて来たなぁ」
「もう、やりたくない、です」
立っているのもギリギリで、門の柱に体重を預ける
「やっと、帰ってきたか」
『土方さん……!!』
どん、と構えるのは腕組みをした鬼副長