海風の如く
「そうそう、俺らにも祝わせてくれよ
西洋式っぽいけど、悪くねぇしな」
「そうだぞ、めでたいことには変わりないんだ」
続いて、藤堂、近藤が華蓮に満面の笑みを向けた
──私は素敵な人たちに囲まれている
「ありがとう、ございます………!!」
あまりにも嬉しくて、涙が出そうになった
今まで、誕生日と言えば、両親が大袈裟にも誕生日パーティーを開いてくれたものだが、上っ面の関係の人から祝い事の台詞を言われたようなものだった
優しく心からおめでとうと言ってくれたのは兄だけで、両親さえも形式的であったように感じる
「さあさあ、早く座って」
井上が席を指す
──?
「今日は遠慮なく歳の隣に座ってくれ」
『えっ!?』
近藤は豪快に言うが、華蓮も土方も驚いた
普段は、副長とその小姓という立場上、隣に座ったりはしない
「…はい」
心遣いに感謝し、喜んで席に着く
「これ、斎藤さんが?」
並んでいるのは、量が多いにしては、だいぶ丁寧な盛り方の夕餉
この几帳面さは斎藤としか思えなかった
「約二年の成果だ、たくさん食べてくれ
それから、一応総司や源さんにも手伝ってもらった」
「沖田さんが?」
井上はもともと料理上手なので納得だが、沖田が進んでやるとは思えない