海風の如く




鏡の面ではない、裏は綺麗な木目の木製で、木目に小さな花が描かれていた



土方がどうやってこの鏡を選んだのかを想像すると顔が緩んでしまう



「……ん?」



土方に不思議そうな顔をされて、初めて自分がにやついていることに気づいた



「ふふっ、土方さんがどうやってこれを選んだのかなって、考えてたんです」



彼のことだから、真面目に考えたに決まってる



「っ、そんなことはいい」



一方で照れ屋であるから、この話はすぐに反らされた



そして、抱きしめられると、華蓮の方が顔を赤くする








「……………生まれてきてくれて、ありがとな」







顔は見えないけど、耳元で囁かれたその言葉に一筋だけ涙がこぼれた



繰り返すが、今までだって祝われなかったわけではない



しかし、今日は18年間生きてきた中で、一番嬉しい誕生日だった



土方は華蓮から体を離し、涙をそっと拭うと優しくキスをした













──翌日



二日酔いの原田、永倉が話しかけてきた



「よ、蓮」
「おはよ」



「おはようございます!!
昨日はありがとうございました

準備をするために、私をわざわざ連れ出してくれたんですよね?」



そう、考えてみると、この二人が華蓮と町に出かけなければ準備していたことが華蓮にバレていたはずだ



きちんと計画されていたのだろう



「まあ、それもそうだが、俺の頼みも嘘じゃねぇよ」



「そうなんですか、おまさちゃんに渡したんですよね?」



帰り際、二人で話していたのは知っていた



「ああ、喜んでたと思うぜ」



「よかったですね」



「ありがとな」



幸せそうな表情から見る限り、原田は本気でおまさが好きなのだろう





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