海風の如く
謎の男とうごめく組織
元治二年四月
屯所を西本願寺に移転して約二ヶ月が経った
「また今年も綺麗に咲きましたねぇ」
桜を見て呑気な感想を言うのは沖田
「そうですね……ここに来て、もう二年になるんですね」
「あっという間でしたか?」
「長かったような……短かったような……
でも自分にとって大切な時間を過ごしているように思います」
今は巡察の準備中
振り替えると本当にいろんなことがあって、大事な人を失ったこともあった
しかし、これからは前を向かなければならない
「蓮さん………そろそろ行きますよ」
何かを言いかけていた気がするが、それには気づかないフリをした
「はいっ!!」
華蓮は沖田の隣に立ち、堂々と門をくぐり抜けた
__坂本龍馬
世の中を変えるきっかけになる人物
以前、偶然出会い、話をして今は坂本に対し憧れを抱いている
自分を信じ、仲間を信じて真っ直ぐ動く人だ
だから、周りの人間を自分のペースに巻き込んでいく
中岡もそのうちの一人だろう
華蓮はふとそんなことを思い、笑みをこぼす
今後について、考えが行き詰まっているから、余計に話を聞きたいのだ
__今頃、何してるかな?
走り回る坂本の姿が目に浮かぶ
今もこの国のために一生懸命かけずり回っているのだろう