海風の如く
__彼ならば、何か意見をくれる
そんな期待があった
「ちょっと、失礼」
__グイッ
「えっ!?」
いきなり路地から手が伸びてきて、身体を引かれる
その声と、懐かしい雰囲気
振り向く前にわかった気がした
「…………!!!」
坂本龍馬だ
あえて声を出さずに押し殺す
ここで出してしまえば、確実に彼は斬られる
「蓮さんっ!!」
沖田はものすごい殺気を出す
__今が、坂本さんのいう時期、ってことなんだよね
沖田の目を真っ直ぐ見つめる
助けて欲しいでもなく、油断したフリをしてくれ、でもない
そんなことをすれば、後で沖田が後ろ指を指されてしまうからだ
沖田は華蓮の気持ちを察したのか、坂本に斬りかかる
他の隊士を差し置き三人が近づいた瞬間
「ちょっと借りるぜよ」
坂本は華蓮を抱き抱え、一歩下がった
すかさず、沖田が近づくと、坂本は華蓮の手を引っ張り、駆け出す
「うわっ!!」
華蓮は半ば引きずられるかのように走った
「皆さん、追いますよ!!」
後ろで沖田の声が聞こえる
かなり切羽詰まった__演技をしている
他の隊士には分からずとも、華蓮にはわかった