海風の如く



現代では科学技術が発達し、大きな火災を起こそうと思えば、そこまで準備せずとも可能かもしれない



火事がなかなか広がらないのは、建物間の距離が広くなったことと、木造だけでなく、コンクリートなどの燃えにくい素材が作られてきたからだ



だが、この時代は違う



建物の間隔は狭いし、木造建築ばかりだ



火はあっという間に広がる







それでも、あれほどの大火事ともなればそれなりに火薬となるものや、それを使う人手は必要になる



なのに、長州は準備していたものをほとんど使わなかった



ということは_____




__いや、そんなこと、あるわけないのに




「………つまり、」



頭の中に浮かんできたある仮定に、華蓮も動揺を隠せない



いいかけた言葉を飲み込み、詰まってしまう




「………そうじゃ」



坂本は華蓮が何を考えたのかわかったのだろう



そして、今まで予想していなかったことが起こっていることに気づくことになる




「……お前のような力を持つ、もっと言えば、火を操るヤツがおる、とも考えられるじゃろ?」




「……………っ」




冷静になれば、納得する



華蓮が風を操る神の力を授かっているように、火を操る人物がいたとしても、何の不思議もない




「ですが、まだ仮の話ですよね?」



華蓮は信じたくなかった



最新の戦術を使う長州に、華蓮と同じ力を持つ者がいては状況が変わってくる





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