海風の如く




華蓮の言葉に、坂本はゆっくりとため息をついた



「わしだって信じとうないに
そもそも、おまんの持つ……風の神の力?、すらわしにとっちゃ未知なんじゃ」



「そ、それは私だってそうですけど…」



「それに、決めつけるのは早いかもしれんが、身元というか、はっきりせんヤツが一人おる
そいつが妙に入れ知恵してるらしい」



__!?



入れ知恵………まさか



「ああ、そいつがこの前の事件を指揮したという噂がある」



中岡も首を縦に振った



「……じゃあ、あんなに対応が早かったのも、こちらの予想に反する出方をしてきたのも……」



「そいつの可能性が高いんじゃ

もちろん、わしかて、何も保証なくおまんに話してるわけじゃない
調べて、出てきたことから予測しただけじゃが、しっくりくるじゃろ?」



確かに、撤退の様子もないのに火があがり、あんなに早く回ったことに対して、そんなことを考え、その力を持つ司令塔がいると仮定すれば当てはまらなくもない



「……そ、う、ですね」



認めたくはないが、そう考えておいた方がよさそうな気がする



華蓮も坂本や中岡の情報が嘘には聞こえなかった



「でも、それが本当だとしたら……」



「…そう、それが問題だ
対応の仕方を考えなくてはならない」



中岡は腕を組む



「まあ、もうしばらくは探りを入れてみるじゃき、ちょっと待っちょっとくれ」



「え、探り、ですか………?」



「まだ動き出すには時間がありそうなんだ、それに乗じて、もう少し調べてみることにした」



中岡も坂本も、また獲物を追いかける豹のような目をしている



実際、危険なことは重々承知の上なのだろう



だが、この二人には自信がある



「おまん話を聞いて、疑いがほぼ確信に変わった

わしらは調べてみるじゃき、華蓮は今まで通り、新撰組の立場を上げることに集中してくれ」



「わかりました」



任せられる、と思った




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