海風の如く




「……何言ってるんですか、私は自分のしたいことをしてるだけですよ?」



華蓮の目的と、坂本の目的が一つのところにあるだけ



そして、華蓮は坂本龍馬の人柄に、坂本は華蓮の強さに惹かれている



だから、こうして協力しているのだ



「……そうか、無理は…………と言っても聞かなそうじゃな」



「ふふっ、それなら坂本さんもですよ」







そろそろ、と華蓮は立ち上がり、二人に別れの挨拶をする



「華蓮、これだけは覚えておいてくれ」



「はい…?」



中岡が思い出したかのように話す



「さっき話した長州にいるヤツは、変わった考えをした男だそうだ」



「変わった考え……?」



中岡からしたら、未来から来た華蓮の考え方も変わっていると言えるのだろうが…



「ああ、誰にも考え付かない奇策を思い付くらしい
そして、長州に協力しているのはある目的を果たすため、だとか」



__ある、目的…………



まったくもって検討がつかないし、歴史上の人物でそんな人がいたかと記憶を巡らせてもわからなかった



__長州藩の人たちは志を強く持ち、目的はハッキリとしていたはず…



「まあ、詳しいことはこれから調べてみる」



そう、ともかく、考えすぎても仕方がない



「…はい、連絡待ってます

それから、このことは新撰組幹部の皆さんは知っているので」



新撰組としては、坂本龍馬は敵になるわけだが、華蓮を信用して黙って見守ってもらっている



「……なるほどな、わかったぜよ」



「では、また、お二人ともお気を付けて」



見送る二人に手を振ると、華蓮は屯所への道を急いだ







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