海風の如く



__何から言えば…



考えがまとまってから、幹部を集めるべきだった



とそんなことを後悔してももう遅い




どうあれ、すべて洗いざらい話すしかないのだ




「……順を追って説明します

あの時、長州藩の陣がある付近から火があがり、ものすごい速度で広がっていったのは覚えていますか?」




「あぁ、それなら俺も見たぜ
それから佐乃もじゃねぇか?」



「そうだな
確かに蓮の言う通りだったぜ
あれはかなり火薬を用意してたんじゃねぇかな」




二番隊を指揮し、新撰組の最前線にいた永倉と原田はよく覚えていた




「それが………問題は、その火薬の量なんです」




「火薬の量だと?」




一同目を丸くする



華蓮は初めに長州にいる謎の人物について話そうとしていたのだから、それに全く繋がらないのだろう




「はい、実は情報によると
長州に用意されていた火薬や弾薬のほとんどが使われていなかったんだそうです」




『はぁ!?』




「そんな、まさか
蓮や新八っさんが言うにはかなりの火災があっという間に広がったって言うじゃねぇか
それを起こすにはかなりの量が必要だったはずだろ?」



屯所待機していた藤堂は燃えた町は見たが、どのようにして起こったかは知らない



しかし、話を聞いていればそれくらいは想定できるほど、あの火事はひどいものだったのだ




「それは本当なのか、蓮君」




「残念ながら、信頼できる情報なんです、近藤さん
そして、確かにあの時風は強く吹いていました

それでも今思い返すと火のまわりは異常な速さだったと思うんです」




混乱し、火を消すことだけに集中していたせいで、見落としていたが、あれは確かに不自然だった




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