夕陽でサヨナラ
「な、んで」
困惑した様子の哲哉。
そんなの、貴方が一番分かってるくせに。
「香とキスしてるの見た。浮気してるの知ってる。」
裏切り者と、罵ってやろうかとも思った。
でも、此奴の為にエネルギー使うなんて勿体ないし、そんなみっともない女になりたくない。
驚いたような態度。
私は彼の大人びたところが好きだったのに。
「か、香とは違うんだ。ただ、キスしただけで。気持ちはないんだ、信じてくれ。俺が好きなのは実里だよ。」
取り乱した姿なんて、幻滅だ。
気持ちがないのにキスしたんだ、へぇ。
アノ子のこと、下の名前で呼んでるんだ、初めて聴いたわ