わたしのスーパーマン
「はじめまして、よろしくお願いします」
礼儀正しい声が、わたしの隣から聞こえた。
その声がした方へ振り向くと、さっき前に立っていた神木理春がわたしの横に立っていた。
いや、正しく言えば隣の田中さんに、その言葉も田中さんに向けたもの何だけど。
「えーと、よろしく。とりあえず席どうしようか?」
神木くんと挨拶を交わした田中さんは少し不安げな声を上げる。
まだ神木くんの席は用意していないらしく、田中さんは暫し考え込んでいた。
で、応急措置的にパイプ椅子をどこからか引っ張り出し、わたしと田中さんの間にそれを広げた。
「萌ちゃん、ごめん、ちょっと狭くなるけど、今日はいいかな?」
遠慮がちな田中さんの声でわたしは彼女の方へ振り向く。
確かに狭くなるけど、嫌とも言えない状況なので椅子を少しずらし「どうぞ」と返事を返した。
「萌ちゃん、ありがと。あっ、神木くん、紹介するね。彼女、谷川萌(たにがわもえ)ちゃん。なにが分からないことがあったか彼女に聞いても大丈夫だからね」
「神木です。よろしくお願いします」
「………」