わたしのスーパーマン
ぼんやりと神木くんに見居っていると、私の視線を感じた彼が私の方へ振り返る。
「いいの?電話しなくて?」
「あっ、そうだ……ごめん、あ、ありがとう」
「「…………」」
わたしは神木くんの言葉でふと我に返る。
手にしたスマホをギュッとつかんで慌てて自分の席から離れた。
◇◇◇
スマホを手に辿り着いたのは、人気がまるっきりない非常階段。
そこでやっと握り締めた手の力を緩め携帯を見つめた。
心臓がドキドキしてるのは、何も彼から着信があったからだけじゃあない。
慌ててここまで走って来たから、だから余計にドキドキするんだ。
そう自分に言い聞かせわたしは彼に電話する。
すると、すぐに呼び出し音は消え、彼の声が耳に雪崩れ込む。
「もしもし、萌?もしかして忙しい?」