わたしのスーパーマン
彼の意外な提案に、私は歓喜な声をあげる。
やった。会えるんだ。嬉しい。
だけどそう思ったのは一瞬で、そう思う反面『我が儘言っちゃったかな?』なんてすぐに後悔の念にかられた。
「待ってるから、早く仕事終わらせなさい」
「うん、絶対待っててね!すぐ終らす」
だけど後悔よりも、会いたい気持ちの方が勝っていた私はうんと返事をしスマホを慌てて切り、仕事に戻った。
「萌ちゃん。さっきの彼氏さんでしょう?別に急ぎじゃあないみたいだし今日はいいよ。上がって」
暫くパソコンの画面と睨めっ子していると、隣にいる田中さんがそう話し掛けてきた。
「えっ、でも……」
「はぁー、早く行きなさい!今日の分は明日頑張ればいいから」
「………」
「なかなか会えない彼氏さんなんでしょう?だったら……」
「はい!!」
わたしは田中さんの言葉に後押しされ、目の前の仕事を切り上げる。
いそいそと帰り支度をしていると、突然耳元でそんな声が聞こえてきた。
『よかったな。頑張れ!』