わたしのスーパーマン



その声にわたしにいそいそと動かしていた手を休めた。



ん?



辺りを見渡したけどみんな自分の仕事をしていて誰一人としてわたしの行動など気に掛けていない。



だけど、気が付いてしまった。



多分彼だ。神木くんだ。



そうしか考えられない。



今一番わたしの近くにいるのは彼だし、彼ぐらいしかこんな真似出来ない。




だけど、どうして?どうして彼はそんな事言うんだろ?



わたしの事情なんて知らない筈なのに。



「じゃあ、すいません。お先に失礼します」


「うん、お疲れ、楽しんできな」



田中さんと神木くんに声を掛け、慌てて鞄を持ち駆け出す。



とりあえず今は彼の事だけ考えよう。



神木くんの摩訶不思議な行動は後で考えればいいや。



「あっ!」



その時ふと思い出した。



かなり昔の記憶が蘇る。が、断片すぎ過ぎて上手く記憶が繋がらない。



ただ分かったのとは、神木くんとは『はじめまして』じゃあない。



『久しぶり』なんだ。って事。




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