わたしのスーパーマン
肩を叩かれた瞬間、ビクリと身体が震える。
完全に自分の世界に入り込んでいたわたしは、その声と動作に驚きを隠せない。
そんなわたしにもう一度声が掛けられる。
「これ、落とし物」
突然、目の前にハンカチが差し出される。
けど、あれ?
わたしには見覚えがない。こんなハンカチ持っていない。
「わたしのでは、ないみたいですけど……」
その言葉と共に目線をあげる。
そこに立っていたのは、あきらかにわたしの知らない人だった。
だけどこの人は親切心からわたしに声を掛けてくれたんだ。
だけど、やっぱりわたしのハンカチじゃあないから、受け取ることはできない。
「そっか、君のじゃあないのか。ごめんね……」
しゅんとわたしの心ない台詞のせいで彼は俯いた。
彼が俯いた瞬間なぜだかふと懐かしさが胸の中で広がったような……。
あれ?彼、どっかで見掛けた事があるような……。