わたしのスーパーマン
だけど瞬時に思い出す事は出来なかった。
いや、喉元まで出掛かっているのに、こうスッキリ出てこない。
そんな事を考えと同時に気まずさも生まれる。
いつまでも向かい合って無言のままって、ましてや相手の人の勘違いでこの状況に追い込まれているなんて。
2つの思いを天秤に掛けたら、気まずさの方が勝ってしまった。
だからわたしは、この気まずさから逃げ出すことに集中し、どうしたらいいのか瞬時に考えを巡らせた。
「ご、ごめんなさい」
いきなり頭を下げてそう告げる。
だけど、在り来たりな言葉しか浮かんでこなくて、何が『ごめんなさい』なのかもよく分からないまま、わたしはそんな言葉を残し彼の前から立ち去った。
そしてなぜか分からないが走っているわたし。
彼が追い掛けて来る筈もない事も分かっているのに、それなのに、ただがむしゃらに走って気が付いたら自分の部屋に辿り着いてた。