狂った未来のお話
「…あら、これはなかなか良いじゃない?ねえ。主」
「…」
入って早々私は後悔した。
これがカルチャーショックというやつだろうとあたしは心の中で自問自答する。
私が“先送りにする”といった言葉で何を思ったのか店員二人は私達を商品部屋という場所に連れてきた。
店員がいうにここに入れるのは関係者だけで私達は特別らしい。
…どうやら本当に買わせたくてしょうがないみたいだ。
「それでこれは、商品番号2222で、今日仕入れたものでして。
」
「そう、まあ若さも当主と同じくらいね。
‥あぁけど、言葉をしゃべらないじゃない?だめね。これ」
「そ、それでは…これは」
私の前を歩くこの店の社長と律は二人で話をしながら回っていく。
とうの私はその後ろでその二人をみていた。
「…だ、大丈夫ですか?顔色が悪いようですが」
「え、ええ…。大丈夫よ。ありがとう」
隣を歩く気の弱そうな女性店員にお礼をいいながらも
私の気分はこの部屋に入ってから悪くなる一方で
今にも吐きそうだ。
気持ち悪くて、できればすぐにでも外にでたい。
それでも目を向けないようにしてもやはりそこら中にあるそれは視界にはいってしまう。
「…ちょっと…お手洗いに行きたいのだけど、どこかしら?」
「ああ。トイレはそこを曲がってすぐですよ。…ついていきますか?」
「ううん。…大丈夫よ。ありがとう。」
これ以上ここにいるのは耐えられない。
私は教えられた場所に早足で向かう。
何度も何度も同じようは檻を横に通り過ぎながらねっとりとした視線をかいくぐる。
きっと戻ってきたら律にまたさっきのような目で睨まれるだろうが
ここにいるよりは何倍もましだった。
「…と。ここで曲がるんだよね。……。 」
周りを見渡すが、トイレなんて一つも見当たらない
あ、あれ?ここ…どこだ。
ー…無我夢中で歩いた先はよくわからない場所だった。
私はいつから方向音痴になっていたのだろうか。