メルヘンチック·レボルバー
そうは言っても、僕達の生活はそこまで大きく変わったわけじゃなかった。



7月の初め……僕達が付き合い始めた日にその場の雰囲気でキスはしたものの、それ以来は何にもない。



とりあえず、帰り道でケータイの番号とアドレスを交換した……くらい?



僕からメールをすれば返事は返ってくるけど、幸香からメールが来たことはない。


野球部の練習があるから、家の方向が一緒でも一緒に帰ることはなかなかできない。


ましてや、どこかに遊びに行ったことも、まだない。



それどころか、学校でさえあいさつ程度しか話してない。



だから、よく考えてみれば、大輔が僕達の関係の変化に気づいていなくても、おかしくはないと思う。


知ってるのは、倉持くらい……なのか。



だいたい、僕自身だってちゃんと付き合ってるって言えるのかな?なんて、不安に思ってるくらいだったんだから。



……少なくとも、昨日までは。



「ってことは、何?
『好きだよ、幸香』、『私もよ、幸哉』みたいなラブラブ生活を送ってるわけ?」
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