メルヘンチック·レボルバー
思う増分喚き終わったのか、大輔がにやにやとしながら言った。
ご丁寧に、台詞の部分だけ声を変えてくれている。
「どんなドラマだよ、それ。僕がそんなことやってるようには見えないでしょ?」
「や、幸哉が彼女の前でどんな風になるかなんて俺にはわかんないからなぁ。
しかも、同じことが幸香ちゃんにも言える!」
机に肘を置いて、身を乗り出した大輔に、僕はわかりやすい溜息を見せた。
「幸香も僕もそんなこと絶対にしないから!だいたい、幸香は僕のこと“幸哉”って呼ばないし」
「は?他に呼び方なんてなくない?幸哉くんとか?まさか、ゆっきー……?」
「いや、あり得ないでしょ、それ。普通に『柴本くん』だから」
「はぁぁああ!?」
1年半も一緒に過ごしていれば、何となくだが、相手の反応がわかるようになってくるものだと思う。
僕は、予想通りの反応をした大輔を睨みつけておいた。
「お前等、本当に付き合ってるんだよな?」
「うん」
「じゃあさ、とりあえず名前で呼んでほしいとか思わないわけ?」
「思わなくもないけど……別に一緒にいられればそれだけで十分かなって思うし……」
僕がそう言うと、大輔はわかりやすく呆れた顔をした。