メルヘンチック·レボルバー
「わかった。わかったよ!柴本くんのピュアさはよーく伝わってきたよ。
だけどな、そんな生温いこと言ってたらダメだ」


「生温い……?」


「言いたいこととかやってもらいたいことがあったら、ちゃんと相手に伝えなくちゃいけないんだよ。
我慢しすぎると、それがぎこちない態度とか発言とかのきっかけになる。
そうすると、だんだんと2人の間に溝ができてくんだよ」


「いや、あの……呼び方だけでそこまでならないでしょ?」



珍しく真面目そうに語りだした大輔は、少し面白い。



僕は、幸か不幸か、彼女ができたのは今回が初めてだ。


だから、経験者のアドバイス……って思うと有り難い気もするけど、ちょっとオーバーすぎる気もする。



「たかが呼び方!されど呼び方!
幸哉は優しすぎるんだよ。だから結構、幸香ちゃんを気遣って、自分の希望を変に我慢したりするタイプだと思う!
男に対してだってそうなんだからな」



大輔は、自分の言ってることに納得してるみたいに、うんうん、と首を縦に動かしている。



「だから、呼び方っていう、例え失敗しても2人にとってダメージが少なそうな部分で練習しとくんだよ。
しかも上手くいったら『幸哉』って呼ばれるんだぞ?今までよりも深い仲になった気分に浸れて良くないか?」
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