メルヘンチック·レボルバー

得意げな表情でそう言う大輔に、僕は何も反論することができなかった。



幸香が僕のことを『幸哉』って呼んでくれるかもしれない……―――



それは、間違いなく僕にとって幸せすぎる状況なはずだ。



名前の呼び方なんて、本当にどうでもいいことなのかもしれない。


でも確かに、呼び方っていうしっかりとわかりやすい変化があれば

恋人らしいことを滅多にしない僕達の関係も、少しはちゃんとしたものだと自覚できる気がする。



こんなことで2人の仲を確認するのって、可笑しいのかもしれないけど……。



それに、自分の希望をちゃんと相手に伝えられるようになれ、っていう大輔のアドバイスも、そのまま聞き流すにはもったいないのかもしれない。



大輔は、不真面目にふざけることも多いけど、他人思いのいい奴だから……。
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