メルヘンチック·レボルバー
「あ、ごめん。明日は無理だ」


「え?何でだよ。せっかくの夏休みなんだから遊びに行かなきゃ損だろーが」


「せっかくの夏休みで、せっかく部活も休みの日だからこそ、大輔と一緒にいたくないんだよ」



僕は、大輔から目をそらしながらぼそっ、と言った。



「……ちゃんと聞こえてるぞ、幸哉」


「うん。だって、聞こえるように言ったつもりだしね」



隣からの、大輔の熱い視線を感じながらも、そのまま僕は自分の支度を整えた。



部員専用の黒いスポーツバッグに、練習で汚れたユニフォームを押し込む。



スパイクからスニーカーに履き変えて解放された足は、少しだけ軽い。



……いや。


足じゃなくて、軽いのは僕の心……かな?



……なんて、ちょっと照れ臭いけど。
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