メルヘンチック·レボルバー
「うん、そんな感じ。知らない間にアルバム取られててさ、みんなが書いてたんだよ。
僕も書けって言われたけど、何書けばいいのかわからなくて焦ったなぁ」
「何か、柴本くんが焦ってるとこって想像できる」
「しなくていいよ、そんな想像」
投げ遣りに言う僕を笑った幸香が、1つの書き込みで顔を止めた。
「これって、女の子から?」
幸香が指を差したのは、明るいオレンジ色。
『幸哉へ』
そんな書き出しで始まった文章は、他のものよりも丸く、可愛らしい文字でいっぱいだった。
「うん、そうだよ。
クラスは別だったけど、野球部のマネージャーだった子」
「そうなんだ。何か、すごく仲良さそうな感じだね」
「うーん……まぁ、毎日練習があったからね。それなりに話したりはしてたし」
そういえば、すごく元気な子だったよな。
そんなことを考えていたけど、幸香の表情が曇っているような気がして、思わず顔を覗き込んだ。