メルヘンチック·レボルバー
僕は、スポーツバッグのチャックを一気にしめてから立ち上がった。



「幸哉君。せめて一緒に帰るくらいいいよね?」



不安そうな顔でそんなことを言いだした大輔に、僕は思わず笑った。



「何、らしくないこと言ってるの?一緒に帰るに決まってるでしょ?
部室の中にいるとみんなの邪魔になるから、外で待ってるだけだよ」



そう大輔に告げてから、僕はドアに向かって歩きだした。



「お疲れ様です」


「お疲れー」



先輩を含む部員に軽く挨拶をして、僕は部室のドアを開けた。



外に出た瞬間に、部室の中とは違った、少しカラッ、とした暑さが肌を刺す。


空の少し端に堂々と光る太陽を見て、僕は少しもやっ、とした気分になった。
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