メルヘンチック·レボルバー
驚いたように目を見開いた大輔が、ものすごく大きい声を出した。
周りの席も十分賑やかだったから怒られるようなことはないけど、少し恥ずかしい。
「静かにしてよ、まったく……」
「だって、聞いてないけど?俺」
「そうなの?知ってるかなって思ってたし、別にわざわざ言う必要もないかなって思ってた」
すとん、とした顔でそう答えた僕に、大輔は「信じられねぇ」とぼそっ、と呟いた。
そして、僕の前にびしっと人差し指をかざすと、一気に捲し立てた。
「いいか?俺とお前は同じクラスなんだぞ?しかも、部活まで一緒の野球部だ。
入部した頃から仲が良くて、先輩からはゲイじゃないかと疑われるほどだった俺等の中に、そんな隠し事があっていいと思ってるのか?」
「大きい声でゲイとか言うなよ」
「おい!話を逸らすなよ」
明らかに不機嫌そうな顔をした大輔の顔が、僕の目の前に迫ってきた。
「はぁぁ……。別に、隠してないし……」
「言わない時点で隠してるのと同罪なんだよ!」