罰ゲームでヤンキー君に告白されました。
ひな
学校を出てからもひたすら走っていた。
もう考えないって決めた。
忘れるって決めた。
期待しないって、決めた。
バカだな、私。
だったら最初から、あの教室に行かなければよかったのに。
何度忘れようとしても、帰り道に考えてしまうのは龍也君のことばかりだった。
大きな手で、頬を撫でられた。
頬にキスされた。
まっすぐな瞳が、私のことを見ていた。
途中で足を止めて、空を見上げる。
真っ白な雪が、はらはらと振り続けている。
苦しい。苦しい、苦しい苦しい。
痛いのも、悲しいのも、冷たいのも、全部あの日と同じ。
龍也君に、全部嘘だったって言われた日と同じだ。
期待しないって、決めたはずなのに。
涙で視界がぼやけていく。
期待しないって、決めたはずなのに。
それでも、私。
――龍也君に、キスして欲しかった。