罰ゲームでヤンキー君に告白されました。
家の前で、彼女は俺を待っていたことに気づいた。
顔を赤くして、泣きそうな目でじっとこちらを睨んでいる。
「……つまんない」
「悪かったって」
頭を撫でると、やっと少し機嫌を直した。
「どっか行こうよ」
「……でも寒いし」
「えーーーー? 行こうよー」
「悪い、また今度にして。今日はもう出かける気になんねーし」
「しょうがないなぁ。じゃあ、また明日ね」
そう言ったあと、唇にキスされた。
俺はぼんやり手を振りながら、有華の後ろ姿を眺める。
白い息。
有華の長い髪。
キャラメル色のコートに、黒いブーツ。
少し前はあんなに眩しく見えた有華の姿が、今はとても遠いところにいるみたいだった。
最近の有華は、すごく焦っているように見える。
ためいきをつくと白くなって舞い上がった。
それとも変わったのは俺の方かもしれない。
有華といると、いつも「何かが違う」と思ってしまう。
自分の部屋に帰ってからも、心はちっとも弾まなかった。
どうしてだ。
近くにあったゲームを手にとる。
電源をいれたけれど、めんどくさくなってすぐに投げ捨てた。
何をしても、楽しいと思えない。