罰ゲームでヤンキー君に告白されました。


ずっと有華のことが好きだった。


ずっと側にいたいと思ったし、自分の物になった時は、誰にも渡さないと思った。


あんなに好きで好きでたまらなかった有華と付き合えてるのに。


一度手にいれて、また失って。
その時の俺はボロボロだった。


ずっと有華が欲しかった。
哲真さんとも話をつけて、それでもうまくまとまらなかったから結局最後は殴りあいになって、お互いボコボコになった。


そこまでして、有華と付き合うことが出来たのに。



――どうして俺は、全然嬉しくないんだろう。


コートをかけているクローゼットから、紺色のマフラーがのぞいている。


俺は手をのばしてそれを引きずり出し、指でなぞってみる。
毛糸が少しチクチクしているけれど、あたたかくて気に入っている。



『好きです』



一瞬触れただけで、あの時の記憶がぶわっと蘇った。



俺にとって、痛くて、苦しくて後悔しかないあの日のことが。


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