罰ゲームでヤンキー君に告白されました。


こうやって何度見上げたってしょうがない。


だけどFクラスまでの距離は、私にとっては遠すぎる。
この壁を超えて、上に行きたいけれど。


真っ白な階段を見上げ、再び溜め息をつく。


『大嫌いなんだよ』


そう言った声が頭の中に響いて。


……やっぱりだめだ。
前に進めない。


しおれた心を抱え、溜め息をついた。
どうしよう。
今日は帰ろうかな。


そう思いながら、階段の前で突っ立っていると。





後ろからつぅっ、と背中を指でなぞられた。




「きっ、きゃあああああああああああっ!」


背中をばっと押さえ、悲鳴をあげながら振り返る。
前にもあった、これ!


こんなことをする人は、おそらく……!


私がそちらをぎっ! と睨みつけると。



……やっぱり、いた。



「こんにちは、ひなちゃん」

「……こんにちは。透さん、ですよね」

「あ、覚えててくれたんだ。感激だなぁ」


あいかわらず表情の読めない顔で、にこにこ笑っている。


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