罰ゲームでヤンキー君に告白されました。
諦めて
透さんは言いたいことを言って満足したのか、最近現れなくなった。
特に日常に変化はない。
私は平和でいいな、と思いつつ図書室に向かっていた。
もっと勉強しないと。
余計なことなんか、一ミリも考える隙もないくらい集中して、追い出してしまいたい。
そう考えながら、廊下を渡ろうとしていると。
「星乃先輩……」
彼女が立っているのが目に入った。
面談の時みたいに、渡り廊下で。
そしてあの時と同じように、目があった瞬間じっと私を見る。
何も変わってない。
きれいな長い髪に、すらりと伸びた手足。
ぱっちりした大きな目に、ほんのり桜色の頬。
一瞬で周囲の人の話し声みたいな雑音が消えて、彼女に視線がひきつけられる。
あんな女の子がいたら、誰だって見とれてしまう。
私は正直彼女にどういう態度をとったらいいのか分からなくて、混乱した。
気まずいけど、今から方向を変えるのも変だし。
このまま歩いていると、すれ違ってしまう。
星乃先輩も私に関わりたくないだろうし、声をかけないほうがいいかな。
あ、でも挨拶くらいしたほうがいいのかな。
迷いながら、小さく会釈して彼女の横を立ち去ろうとすると。
「あのさ」
彼女の声がして、びくんと足を止めた。
喉がカラカラにかわいて、声が出ない。
なんとなく怒られるのかな、と思った。
けれど。