罰ゲームでヤンキー君に告白されました。


私がいなければ、全部うまくいく。



痛む心を押さえつけて、平気な顔をして、ずっと考えていたセリフを吐いた。



「この間も先生に注意されたんだよね。
大神と一緒にいると内申点が下がるって。
私にとって、一番大切なのは先生になる夢なの」



「……ずっとそんな風に思ってたのか」


彼の顔が、くしゃっと歪む。
怒ったような、悲しそうな。


やがて龍也君はまた、言いかけた言葉を飲み込んで。


押し殺した声で呟く。


「分かった、もう話しかけない」


真っ白な雪。


彼の足音が、だんだん遠ざかる。
大きな彼の背中も、見えなくなっていく。


まるで映画を見てるみたいに現実感がない。


何も見えない。
白い雪にかき消されて。


動けないし、しゃべれない。
私は人形になったみたいに、ただ立ちすくんでいる。


……これでいいんだよね?


これで全部うまくいくんだよね?
作り物の笑顔を必死に取り繕った。


龍也君のことが見えなくなると。


くらくらして、倒れそうになった。
自分の意思に反して、目の前がぼやける。





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