罰ゲームでヤンキー君に告白されました。


後ろから聞こえた声に、大きく息をのむ。
振り返ると、彼が薄く目を開いていた。


驚いて心臓が止まりそうになる。


「龍也君っ!」



意識が戻ったんだ!
お母さんも、すぐ目を覚ますはずだって言ってたし。


早くお医者さんを呼ばないと!


「龍也君、待っててね! お医者さん呼ぶから!」



焦って病室を出ていこうとすると、弱々しい力で手をつかまれた。


「……龍也君?」


痛み止めがきいているせいか、なんだかぼんやりしているみたいだった。
声をかけようとすると、彼はもう一度呟いた。


「ひなが来るわけないよな」


そして一人で納得する。

「あぁ、そっか。これ、夢か」


どうやら夢だと思っているらしい。


「……うん。そうだよ」


どうしようか迷った挙句。
私はベッドの横にあった椅子に座り、彼の手を握りかえした。
夢だと思っているなら。



――それでいいや。


目を覚ましてくれて、それだけでもう何でもいい。

嬉しくて嬉しくて、まぶたが熱くなる。


夢でもなんでもいい。
龍也君が大丈夫なら、もうそれでいいんだ。




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