罰ゲームでヤンキー君に告白されました。
図書室にはあまり人がいなかった。
貸出カードを整理する図書委員の人くらい。
テスト期間以外は結構すいてるものだなぁ。
「予約していた本、お願いします」
「はい」
カードを出すと、入荷したばかりの本を渡してくれた。
四人がけの席につき、私はノートを広げる。
「えっと、ちょっと勉強しようと思うんですけど」
「あー、じゃあ俺も適当になんか読んでる」
「はい」
どうやら彼も付き合ってくれるらしい。
私は本を広げ、そこに書いてある内容をメモする。
新しい紙の匂いがする。
ノートに顔を落としながら、ちらっと龍也君の姿を目で追う。
彼は本棚の間をうろうろ歩いていた。
図書委員の男の子が、複雑な顔つきでそれを警戒している。
金色の髪が太陽の光りでキラキラ光っていた。
……龍也君、図書室似合わないなぁ。
やがて何か気になる本が見つかったらしく、私の正面にどすんとちょっと大きな音をたてて座る。
カリカリ、カリカリ。
私は気づかないふりをして、本の内容に集中しようとする。
……パラリ。
図書室は静かだから、彼がページをめくる音さえ聞こえてくる。
それから数秒後。
パラパラパラパラと最後までめくり、本を閉じた。
どうやら読む気をなくしたらしい。
本はあっさり枕に変化した。
龍也君は机にごとっと頭を乗せ、正面にいる私に視線を送ってくる。
まるで視線が突き刺さっているみたいだ。
み、見られてる。
だけど気にしない。
すっごく見られてる。めちゃくちゃ見られてる。
気にしない、気にしない。
……気にしない、ふりして勉強しようとしたけど、やっぱり無理だった。