罰ゲームでヤンキー君に告白されました。


何!? もしかしてナンパ!? ていうか痴漢!?
ほとんど抱きかかえるような形でつかまれ、顔が青ざめる。


「私急いでるんです。ごめんなさい、離してくださいっ!」


出来るかぎりの力で、じたばたと全力をかけて暴れる。

すると目深に帽子をかぶっていたその人が、それを脱ぎ捨てていたずらっぽく笑った。


「そんなに急いでどこに行くんだよ」


「……龍也君!?」


予想外すぎて目を丸くしてしまう。
私を捕まえていた男の人は、龍也君だった。


「……なんで」


驚きでぽかんと口が開く。


絶対に龍也君のことを、見間違えたりするわけないと思っていた。
それなのに最初の一瞬、全然知らない人だと思った。


だって、髪の毛が黒い。


ただそれだけなのに、なんだか全然違う人みたいだった。
服装もなんだかぱりっとしている。


「嘘? どうして……」


彼は軽く微笑み、私の頭をぽんぽんと撫でた。


「ヤンキーが怖いって言ってたから」


聞き慣れたその声に、じわりとまぶたが熱くなる。


「とにかく一番に出来んのは髪型だったから、黒くしてみた」


いつの間に退院したのとか、すぐに歩いて大丈夫なのとか。
質問が洪水みたいに湧き出てきそうだったけれど、何も言えない。


彼は照れたように頭をかく。


「……変か?
やっぱり意味ないか? 
髪の色変えても、服装変えても、俺のこと嫌いなままか?」


それからふっと自嘲気味に笑う。

「いい加減うざいよな」


そう言われた途端、私は彼にぎゅうっと抱きついた。


「ひな!?」


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