罰ゲームでヤンキー君に告白されました。
「おい、ひな!」
声がさっきより近づいているのに気付き、後ろを振り返る。
「げっ!」
ものすごいスピードで、狼に似た生き物が私の目前に迫っていた。
龍也君だけど。
逃げようと思ったけど、結局つかまってしまう。
龍也君は足が早いし、私は走るのが遅いから当然の結果だ。
「何でしょう」
廊下を全力疾走したのなんて生まれて初めてだ。
ゼイゼイ息を切らしながら質問する。
「お前、どうして完全に無視してんだよ!」
なんか超怒ってるしーーーー!
私はびくびくしながら彼に説明する。
「えっと、龍也君に会いに行こうと思ってFクラスに行ったんですけど、他の人がいたのでどうしていいのか分からなくて」
「なら今度からちゃんと声かけろよ! つうか逃げんな!」
「どうしてですか?」
「傷つくだろーが!」
その言葉にきょとんとする。
「龍也君って、何があっても傷つかないのかと思いました」
「あぁ? 俺のハートは繊細なんだよ! ガラス細工のように傷つきやすいんだよ!」
「龍也君とガラス細工って、正反対の場所にいる気がするんですが」
むすっとした顔で付け加える。
「それにお前、昨日俺のこと突き飛ばしたろ」
「申し訳ございません」
それは悪いと思っていたので素直に謝った。