罰ゲームでヤンキー君に告白されました。
そう指摘され、びくっと肩を震わせる。
私はこんな人全然知らない。
逃げようとしているのに、目の前に回りこまれて進路を塞がれてしまった。
目を細めた三年らしき男の人が、こちらに白い煙を吐きかける。
タバコ臭さにごほごほ咳き込みながら抗議しようとするけれど、怖くて声が出ない。
「……通してください」
彼はそれを無視し、無遠慮に私の顔を見つめる。
「どっかで見たんだけどさー、なんだろうなー」
「ははっ、なんだよお前、昔の女か?」
「ちげーって。こんなん声かけるわけねーだろ」
なんだろう、この人達。
三年生だっていうのは分かるんだけど。
どうしよう、怖い。
恐怖でカタカタと身体が震える。
「あ、そうだ思い出した! ほら、哲真さんの彼女ともめてた一年の」
そう言われ、周囲の人間も何かを思い出したらしい。
「あ、知ってるそれ聞いたことあるわ。へー、これが『ひな』?」
その呼び方に、心臓がずくんと締め付けられた。
私のことを『ひな』と呼ぶ人は、一人しかいない。
「俺も知ってるわそれ」
「うける。無理だろー、こんなん」
どうやら彼らは私のことを知っているらしい。
頭の芯がどんどん冷たくなっていく。
どうしてその呼び方を知っているの?
龍也君に聞いたから?