罰ゲームでヤンキー君に告白されました。
氷よりも冷たい声が聞こえ、全員動きを止める。
近くにいた三年生はにやにやしながら彼に視線をやる。
「あれ、どうしたの大神君。こんなとこでどうしたのー?」
「君も大変だねー」
「ただの振りでもこんなダッセー女と付き合うとか、かわいそー」
しかしそれをちっとも相手にしようとせず、龍也君は突然ゴミ捨て場の塀を殴りつけた。
ものすごい音がする。
全員信じられず、目が点になった。
年季が入って痛んでいたとはいえ、コンクリートの壁が彼の腕の形にきれいにへこんでいる。
龍也君が腕をひくと、壁の欠片がぱらぱらと下に崩れ落ちた。
「ひぇっ」
「さっさと消えろ!」
「お、おい、まじかよ」
さっきまで笑っていた三年生から笑顔が消えている。
「失せろって言ってんだろ。お前ら、これと同じように顔砕かれてーのか?」
龍也君がもう一度脅すと同時に、全員あっという間に逃げ去ってしまった。
彼は表情をゆるめ、どうしたらいいのか分からずたたずんでいた私の方に振り返る。
「……ひな、大丈夫だったか?」
「私……」