罰ゲームでヤンキー君に告白されました。


氷よりも冷たい声が聞こえ、全員動きを止める。
近くにいた三年生はにやにやしながら彼に視線をやる。


「あれ、どうしたの大神君。こんなとこでどうしたのー?」

「君も大変だねー」


「ただの振りでもこんなダッセー女と付き合うとか、かわいそー」


しかしそれをちっとも相手にしようとせず、龍也君は突然ゴミ捨て場の塀を殴りつけた。


ものすごい音がする。
全員信じられず、目が点になった。


年季が入って痛んでいたとはいえ、コンクリートの壁が彼の腕の形にきれいにへこんでいる。

龍也君が腕をひくと、壁の欠片がぱらぱらと下に崩れ落ちた。


「ひぇっ」

「さっさと消えろ!」

「お、おい、まじかよ」


さっきまで笑っていた三年生から笑顔が消えている。


「失せろって言ってんだろ。お前ら、これと同じように顔砕かれてーのか?」


龍也君がもう一度脅すと同時に、全員あっという間に逃げ去ってしまった。



彼は表情をゆるめ、どうしたらいいのか分からずたたずんでいた私の方に振り返る。

「……ひな、大丈夫だったか?」

「私……」

< 49 / 174 >

この作品をシェア

pagetop