罰ゲームでヤンキー君に告白されました。


まるでいきなり冷水をかけられた気分だった。


「……どうしてですか?」


怒りなのか、なんなのか。
喉の奥にぐっと苦しい塊がつまる。


吐き出したいけれど、私はそれをいつも押さえつけてしまう。


「とにかく進藤は成績いいんだからな。道を踏み外さないように」

「ちょっと待ってください! 
どうして龍也君と一緒にいることが、道を踏み外すことになるんですか!?」


いつもおとなしくしている私が反抗したのが意外だったのか、不機嫌そうに顔をゆがめる。


「そうやって教師に歯向かうようになるのも、大神の影響じゃないか!?」

「違います、私は……!」


「それ以上うるさく言うと、内申にひびくぞ。いいのか?」


その言葉にどきっとして、言いたかったことが形を失っていく。


言わないといけないのに。
そんなことないって、ちゃんと言葉にしないといけないのに。



私が黙っているから諦めたのか、ためいきが聞こえた。


「まぁそれだけだ」


ぎゅっと唇を噛み締め、先生の顔を見ないように外に出る。


「……失礼します」


廊下に出ると、力が抜けてしまいそうになった。


次の順番の女の子が入っていって、また面談が始まる。
人気のない廊下でがっくりと肩を落とした。


……だめだな、私。
きちんと言わなきゃいけなかったのに。


龍也君は、そんなに悪い人じゃないんだって。


一緒にいるだけで評価が下がるとか悪い影響がとか、そんなふうに言われるような人じゃないんだって。


みんな誤解してるだけで、本当はすごく優しい人なんだって。



――言わなきゃいけなかったのに、結局何も言えなかった。


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