罰ゲームでヤンキー君に告白されました。
私はいつもそうだ。
言いたいことをちゃんと言えない自分が、大嫌い。
溜め息をつくと、息が白くなった。
あぁ、寒い。
建物の中なのに凍っちゃいそう。
もう帰ろう。
これ以上学校にいても、もやもやするだけな気がする。
そう思って廊下を曲がろうとすると、壁にもたれて携帯で音楽を聞いている星乃先輩がいた。
「あ、終わった?」
ぱちぱちとまばたきをする。
そうだ、話があるから待ってるって言ってたんだっけ。
「はい、終わりました」
なんかもう色々ありすぎて忘れかけてた。
彼女はきれいな髪をかきあげ、耳にしていたイヤホンを外してポケットにしまった。
「ちょっと、ゆっくり話せる場所に行きたいんだけど。
んっと……そこのカフェでいいかな?」
「はい」
頷き、彼女の後ろをちょこちょことついていく。
足が長いなぁ。
本当にスタイルがいい。
近くにいると、やっぱり星乃先輩と自分の違いを嫌でも意識してしまう。
つやつやした長い髪。
きれいな顔。
同じ制服のはずなのに、星乃先輩が着ているとすごくおしゃれに見える。
きっとシャツの選び方とか、ボタンの開け方とか、スカートの丈とか、小さなアクセサリーとか、そういう少しずつがたくさんたくさん積み重なって大きな差が生まれるんだ。
彼女の後ろを歩きながら、唐突に強く思った。
きっと、彼女の話は私にとって楽しい話にはならない。
――龍也君に、会いたい。