罰ゲームでヤンキー君に告白されました。
彼はぎっ、と重そうな屋上の扉を開けた。
冷たい風がひゅっと吹き抜ける。
「寒いけど、ここ数日の中ではあったかい方かな。お日様も出てるし」
「どっか別の場所行くか?」
「でもあんまり時間ないよ?」
「しゃーないか」
私達は少し段になったところに二人で並んで座った。
屋上からだと、街の様子がきれいに見渡せてちょっと楽しかった。
「やっぱり風は冷たいね」
「そうだなー。冬ってだりぃ」
龍也君はおにぎりを食べながら、眠そうに目をこする。
「あー、だるい。飯食ったら帰ろうかな」
「龍也君って自由だよねぇ」
こちらを向いて、突然にっと笑う。
「でも今日は帰らねぇ」
「なんで?」
すると彼は不機嫌そうに眉を寄せる。
「はぁ? ひなと一緒に帰るからに決まってんだろ」
「えっ!?」
突然の言葉に驚いていると、ずいっと顔を近づけられる。
「今日は大丈夫なんだろうな、帰り」
「う、うん。一緒に帰れるけど」
「そうか! ならいい! 逃げるなよ」
「は、はい」
「最近逃げられっぱなしだからな!」
「べ、別に逃げてないけど」
「とにかく行くから! 絶対いろよ! 逃げたら家まで行くからな!」
びっくりして、思わず咳き込んでしまう。
彼を見ると、にっこりと微笑みかえされた。
――苦しい。
本当に、龍也君の気持ちが全然分からない。
龍也君は星乃先輩が好きで、彼女も今も龍也君が好きってことは。
……両思い、なんだよね。
それなのに、なんで?