運び屋の受難
運び屋の仕事
「ん…」
朝の眩しい陽射しに目を開く。
「ん…?」
頭に疑問符が浮かんだ。
背中の体温にも、回された腕にも、身に覚えがない。
「おはよ…早起きだね」
耳もとで囁かれる。
ここは確かに私の家。そして私は自分の家に人をあげることはない。
どれだけ酔っていようと、今まで一度もなかった。
「ハルちゃんごめんね。悪気はないんだけど、鍵壊しちゃった」
やっぱり、と思った。
大神トオル。
彼は、わざわざ私が寝ている間に、鍵を壊して侵入してきたらしい。
呆れてため息しか出なかった。