運び屋の受難


「ハルちゃん、今の仕事から手を引くべきだ」

珍しくも真面目な表情のトオルさんが言った。

「私は一度受けた仕事を断らないよ」

トオルさんの言う意味がわからなくて、私はそう返した。

「命と仕事を比べて命の方が大切だって思うなら、あとで後悔するよ」

「その時はその時です」


私の携帯に着信があった。
遠山さんからだった。
どうやら仕事が終わったらしい。

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