運び屋の受難


「ねぇ、中で何があったの?」

私が尋ねると、トオルさんはペラペラとよく回る舌で言葉を紡いだ。

「キリトが俺と心中しようとしてきたんだけど、俺まだ死にたくないから、手錠外して小屋から出て行ったってわけ。
キリト放って置いてもよかったんだけど、君に謝らせるには生かしておくべきだと思って」

私の家の鍵をピッキングできるんだから、手錠くらい外せるんだろうなぁ。

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