運び屋の受難
「ごめんなさい」
遠山さんは私に頭を下げた。
「?」
困惑。どうしていいかわからなくて、トオルさんを見る。
トオルさんは我関せずといった感じでナイフの手入れをしていた。
「トオルを誰にも渡したくなかった。
だから、トオルのお気に入りのあんたを使ってトオルを呼び出した。
トオルを見ていてわかったよ。悔しいけど、俺はあんたとトオルの間に割り込めない」
悲しそうに笑う。
ん? なんか間違いが生じているような。
「トオルを幸せにしてやってほしい。
そうじゃなきゃ、次は本当に俺があんたを殺すから」
ぞっとするような殺意を感じた。
わけもわからずに首を縦に振る。