運び屋の受難


「てかさ、ハルちゃんが俺の忠告を聞いていればこうならなかったよね」

「そもそもあんたと会わなきゃ、こんな短期間で二回も入院することになんてならなかったよ」

「うわ、ひどいこと言うなぁ。傷付いちゃう」

「嘘くさいなぁ」

トオルさんはいつもの薄い笑みを浮かべる。

「でもまぁ…ありがとう」

感謝を述べると、トオルさんは驚きの表情を見せた。

「前から思ってたけどさ、ハルちゃんって変なところでありがとうって言うよね」

「そう? 助けに来てくれてありがとうって、変?」

「そこだけ聞いたら変じゃないけど。
そもそも原因は俺だからね」

「原因が何であれ、助けないって選択肢もあるわけじゃん」

「そうだけどさー。
……うん、やっぱり君変わってる」

トオルさんは笑いながら言うけど、私としては納得できなかった。

私は断じて変じゃない。

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