運び屋の受難
「ニュース観て驚いたぜ。まさか本当に死んだとはな。
てっきり俺らは、嬢ちゃんがヘマをして言い逃れしてんのかと思っちまった」
重治さんはニヤニヤしている。
それでも威厳を感じられるのだからすごい。
「ヘマなんざしませんし、もしヘマしたとしても正直に言いますよ。ビジネスですからね」
私は堂々とそう言った。嘘じゃない。
「そうそう。こいつはそんなヘマしねぇの」
明宏はヘラヘラ笑っている。同じ笑うでも親子でこうも違うらしい。