運び屋の受難
縛られていたところを見る。縄の形にうっ血していた。
「なんかSMプレイした後みたいだね」
「……」
そんなくだらない感想いらない。
「ゲームの内容だけど…まぁ鬼ごっこみたいなものだね。結構お金かかるし気に入った相手にしかしないんだから。
君は俺が一方的に痛めつける。君は精一杯俺に捕まらないよう逃げることだ」
「……わかりました」
私は頷いた。逃げるのは私の得意分野だ。
「とりあえず家まで送るよ。楽しいゲームは明日からだ」
「……いや、一人で帰ります」
家の場所を教えたくない。
そんなことになるのなら何時間かけてでも歩く。
「あ、もしかして家がばれるんじゃないかって心配してる? それなら大丈夫。ハイツ・エリザベスでしょ」
もうばれている、と伝えたいのだろう。
仕事帰りを襲われたって考えたら、それくらい知ってて当然なのかもしれない。
私はため息をつき、促されるままに死神の車に乗った。