運び屋の受難
「そう怯えないでよ。店で暴れるわけないじゃん。
翠さん、お寿司食べたい」
「ここに来てそんなの頼むの、あなたくらいよ」
翠さんは呆れたように言う。それでも出してくれるのがすごいところだ。
和食洋食中華、彼女のレパートリーに不可能はない。味も見た目もいい。
「……」
死神はなぜかカウンターに座る私の隣に座ってきた。
でもそれだけで、私に構うわけでもなく遅い昼食を待っていた。
……本当に偶然なのかな。
どちらにせよ、昼食中は追って来ないだろう。
私は食べ終えたことだし、今のうちに店から出ることを決めた。