運び屋の受難
「なんだってこんな目に…」
集合住宅の階段でため息をついた。
自分で自分を責める。
こんなとこ、いるとばれたら逃げ場所はない。
どうしてこんなところに隠れてしまったのだろう。
「どっかの家、お邪魔させてもらお」
姿勢を低くし、廊下を歩く。外から見ても気付かれないように。
適当に歩いていたら空き部屋を見つけた。
よし、神様はまだ私を見捨てていない。
鞄から道具を取り出しピッキングに勤しんだ。
あんまり得意じゃないけど出来ることは出来る。