いつもそれは突然で。
いつもそれは突然で
ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ

アラームの音が遠くで響いた。

「んーーー」

やっぱり朝は苦手だ。
いつもかけてる目覚まし時計は3つ。

ケータイと机の上に2つ。
私は止めるために1度体を起こして止めに行く。

まだあ時間は5時30分。
私はまた布団の中に潜った。

「あとお少しだけ・・・」

そう言って私はまた夢の中に帰った。

「葵!いつまで寝てるの」

んーー?誰の声だろう。
ママかな?おねえちゃんかな?

2人とも声が似てて全然見当つかない。
あと・・10分くらい寝させてよ。

「先輩行っちゃったよ?」

先輩・・・榛原先輩・・行っちゃった。
・・・・・・・行っちゃった!?!?

「なんで!?」

「あんた何時だと思ってんの!」
携帯を見ると時刻は7時50分

もうホントにありえない。

確かにアラームはセットしたのに。
好きな音楽でも起きれない。

もう私って何をしても起きれないんじゃないかって思う。

私は携帯と制服をガバって持ってリビングに降りた。

「あんた大丈夫なの?」

ママがせかせかとお弁当を詰めながら私に言う。

「トイレ行ってくる」

私はリビングを出てトイレに向かおうとした時だった。
おねえちゃんが廊下の向こうからドアを開けた。

私は運悪くドアに激突。
鈍くて低い音と痛さが体に走った。

足を見ると爪がベローンと剥がれていた。

「いったああああああああああい!」

朝から大絶叫。
100点万点もらえるかな?じゃなくて!

本当に痛い。私は意地でその足を引きずってトイレに行った。
それから急いで制服を着て、お弁当を持った。

星座占いをチラってみると私は1位だった。

これが1位??
1いっていいもんじゃないの?
ある意味1位だなって思って「行ってきます」と言葉を投げて
玄関に向かった。

廊下を走ってた時私は盛大にコケて尻もちを付いた。

「いったあああああああいいい」

でもめげてられない。
学校に行かなくちゃ。

だって私にはやらなくちゃいけないことがあるから。

私は勢いよく自転車に飛び乗った。
自転車のタイヤは少し重い。

この自転車少し故障してる。
ホントは昨日修理に行く予定だったんだけど

雷が轟くほどの大雨だったから行けなかったんだもん。
怖かったから。

だから今日は早起きして先輩に特別な人しか乗れない
後ろの席に乗せてもらおうと思ってた。なのに。

寝過ごしちゃうなんてありえない。

太陽の日差しの熱さが黒いセーターに集まってくる。
昨日グレーのベストをクリーニング屋さんに取りに行こうと思ったのに
あいにくの天気の上に昨日は休みで。

でもカッターシャツだけはなんか不細工で。
仕方なしにこうなったってわけ。

私の今日はいま始まったばかり。
一体これかの今日はどうなっちゃうの!?

私は必死で自転車をこいだ。
どれだけ今の私が急いだって先輩に追いつけないことくらいわかってた。

でも・・・先輩に会いたいよ。
いまどうしても会いたいのに。

なんで運命はこうなんだろう。

いつも会いたいって時に限って会えなくて。

頑張って可愛くしてみたり、メイクしたり、前髪上げてみたり
お団子ヘアーにしてみたり

先輩に会っても大丈夫なようにした時ほど会えなくて。

寝癖が跳ねちゃっててどうしようもないときとか、
少し手抜きをしちゃった時ほど会えない。

今日みたいに急ぎすぎてメイクを忘れちゃって
ブサイクな時ほど先輩に見られてる。

本当に嫌だ。

先輩に会いたい。

いつもより超速急で自転車をこいでた私は
思った以上に早く、いつもの交差点につくことができた。

この坂道をかけ降りればもう交差点。

あのおっとりした先輩じゃそこまで遠くにはまだ行ってないはず。

私はブレーキをかけずにこの坂道を駆け下りた。

向かい風でうまく息ができない。
交差点にかかろうとしたときブレーキをゆっくりと握った。

でもブレーキは聞かなかった。
そうだった私の自転車ブレーキが壊れてたんだっけ。

だから先輩に助けてもらおうとしてたんだ。

お姉ちゃんはしっかりもののママ似。
私はおっちょこちょいでどこか抜けてるパパ似。

こういうときなんで私はママにになかったんだろうと思う。

全部優しくてどこか抜けたパパに似てる。

私を乗せた戦闘不能状態の自転車は止まることなく
交差点を駆け抜けようとした

その時いきなりブレーキが効いた。
どうにか自転車は我に返ったようだ。

でも時はすでに遅し。

私の体は、交差点に投げ出されていた。
あまりの衝撃にずっとハンドルを握ってることができなかった。

走馬灯がふと頭の中をよぎった。
私はあ死ぬのかなあって覚悟した。

私は何1つと納得してないのに。
右側を見ると大型トラックが私の方を向いて走ってきてた。

一瞬が長く感じた。
その長さが、私を恐怖に襲わせた。

一瞬の普通が1秒だとしたら一瞬が5秒くらい。
だって怖いよ。今からあたってくるであろうトラックがこんなに近くで
近づいてくるんだもん。

それから間もなくして私は右側に打撃を受けた。
それとともに上に巻き上げられるような感覚があった。

多分私はフロントガラスにあたってから蜘蛛の巣を作っちゃって
それから地面に叩き落とされるんだろう。

あまりの怖さに私は強く目を閉じた。

「榛原先輩」

1番好きな人名前を呼んでた。
すると、落ちていってた体は上に巻き上がっていった。

「わわわわわわわわわわわわわわわわわ」

私は怖くて空中でもがいた。

だって死にたくなんてないよ。
先輩のそばにもっと近くにいたいよ。

こんなにも好きなのに。

まだ私何も出来てないよ。

私の体はある程度巻き上げられると空中で止まった。

エメラルドグリーンとグレーのなんかごちゃごちゃした空間だった。
私はまたその空間から落とされていった。


「先輩・・・・」
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